失語症を含む「言語障害」というものは、症状によって大きく以下の三つのレベルに分けられます。
発音がおかしい(構音障害)
言葉が出ない、おかしなことを言う(失語症)
考えの筋道がおかしい、話そうという意思が無い(認知症や意識障害など全般な精神活動低下に伴う状態)
以上の中でも、ここでは「構音障害」と「失語症」について説明いたします。
一般的に大半の人の左大脳半球にある※言語中枢になんらかの理由で傷がついた場合に、脳で言葉を処理することが障害され、話す、聴く、書く、読むなどの言語能力の一部または全部が失われた状態をいいます。(※言語中枢は右脳にある人もいます)
記憶は確かで判断力もしっかりしており、口や舌・呼吸などの発声・発語に関する体の麻痺とはあまり関係がありません。
失語症と同じく脳障害の後遺症として起こるもので、言葉は話せるものの声が出にくかったり、ろれつが回らなかったりするため相手に伝わらない状態をいいます。
言葉が脳で処理された後、最終的に口を動かす部分、「話す」側面のみ障害され、聴く、書く、読むは基本的には可能です。
発音器官は摂食器官とほぼ共通するため、嚥下障害やよだれを伴うことがよくあります。
また、声帯・軟口蓋・奥舌などに障害が起こり口の周りに麻痺が起こるため、発声に影響があり発音が聞き取りにくくなります。
ブローカー失語 | 左脳前方の損傷で起こる。 語彙が乏しくたどたどしい話し方になる。 身体面では歩けるようになる可能性が高いが、右手の重い麻痺が残る。 |
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ウェルニッケ失語 | 左脳後部の損傷で起こる。 なめらかに話すが、甚だしい言い間違いをすることがあったり、言葉の理解力も低下したりする。 重傷者は意味不明の滅茶苦茶な言葉になることも(ジャーゴンと呼ばれる)。手脚の麻痺がないことで、しばしば認知症と誤診されてしまうこともある。 |
失名詞失語 | 脳の損傷が小さい場合に起こる。 とっさに言葉が出ないだけの症状。身体面でも言語面でも障害は軽い場合が多いが、精神的な支えの必要性は他の失語症と変わらない。 |
全失語 | 左脳の全体に及ぶような大きな損傷の場合に起こる。身体面でも車椅子での生活になる。 |
言語障害を持つ人の周りの人たちは、その方の言語障害の種類(症状)に合わせて接することが大切です。
失語症の方たちは、言葉は不自由でも記憶も確かで判断力もしっかりしています。このことに対する周りの人たちの理解と支えがとても大切です。
失語症の方たちは、考えがあるのにそれを言葉にして伝えることができないため、もどかしさを感じています。
周りの人たちは、まず本人の考えを尊重すること、本人に無理に言葉を言わせるのではなく、本人の考えや思いを言いあててあげること、を念頭にコミュニケーションをとらなければなりません。
構音障害の方と話をする際は、周りの人たちがまず「自分が間違って聞き取っているかもしれない」ということを相手に伝えることが大切です。
言葉が聞き取れなくても「何ですか?」と聞き返すことはせず、会話の中で相手の言葉を聞き取れた通りにすかさず返す態度を身につける必要があります。
どうしても聞き取れない時は書いてもらうなどし、それでも通じない時は「ごめんなさい」とあやまることが大切です。
スタート声をかけて今日も元気かどうかの確認 | |
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元気がないなら念入りな健康チェック・医師の診察 |
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元気なら 「笑顔を引き出そう」「明るい気持ちでいてもらおう」という思いを込めてはたらきかけ ・おもしろい話をして笑ってもらう 「どのようなことを考えるようになったか」を推測する ・「私に何か言いたいことがありますか?」と聞く どうしても通じないときは… ・本人のためにどの位時間を割くかあらかじめ心に決めて、じっくりと話を聞く 「分かってあげられなくてごめんなさい」「私の方こそちゃんといえなくてごめんなさい」といえる関係をつくることが大切です
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